29坪 旗竿敷地でも2階リビングとハイサイドライトでのびのびライフの家

面積表

1階床面積  48.86㎡  14.75坪
2階床面積  45.88㎡  13.85坪

延べ床面積  94.74㎡  28.60坪

(ロフト面積   6.62㎡   2.00坪)
(吹抜面積   13.25㎡   4.00坪)

 



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空からの光を楽しむ家

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出典:北欧モダンの家・モダン和風・プレーリースタイルの家造り

 写真は北欧の建築家アルバー・アアルトの自邸兼アトリエのアトリエ部分です。アアルトの作品にはハイサイドライトやトップライトが有効に使われて光が建築の内部空間を生き生きとさせていることに気が付きます。北欧フィンランドでは太陽の光が弱く、それだけに太陽の光を大切にする気持ちが強く設計でも丁寧に考えられているのだろうと思います。

 白い壁が光を反射して美しいですね。床にまで白い色を使っていてドアが開いている奥の部屋からの光が床に反射しているのも美しいですね。白は光を反射する、光を生かす色でもあります。

 今回の敷地は旗竿敷地で普通の高さの窓からは隣の家の壁しか見えない状態です。アアルト先生の作品から少しだけアイデアをお借りしたいと思います。

 

配置計画

 旗竿敷地の旗の部分が22坪の狭小敷地。ハウスメーカーにとっては工事費が伸びないで手間だけ掛かる嬉しくない仕事。敷地図に標準図を入れただけの計画案でした。配置を考える余地のない敷地です。東と西と南に民家が迫り、北側にはマンションがあります。東側隣地の北の端が庭になっていて若干の「抜け」があります。

 

平面計画

 1階に寝室、2階にLDKを設けます。洗濯の利便性を考え浴室は2階に設けました。そして2階の空間を豊かにするためにロフトと吹き抜けを設けています。吹き抜け部分の壁に窓を設けることで空に開かれたビューがあります。

 

1階平面

 寝室と子供室2室を設けます。寝室前は隣家の庭があり実質的に開放感のある窓になります。キャンプなどのアウトドアでのレジャーが趣味というご家族で土間収納が重要なご希望でした。玄関から内側に設けると他の部分への影響が大きいため外部から利用する外物置としました。

 

2階平面

 2階は19畳のLDKと浴室、洗面、トイレとなっています。この敷地では最大限の大きさです。東側隣地の庭部分に合わせてバルコニーを設けています。物干しやごみの一時置き場の利用を想定しています。1階の寝室の窓を採光上有効なものにするためでもあります。また南側の路地状部分に面してもバルコニーを設けています。視線が気になるので目隠しとデザインのポイントとして縦格子を設けました。

 

ロフト・吹き抜け

 LDKを豊かにするための吹き抜け。生活にプラスアルファの可能性を加えるロフト。ロフトへの階段は固定式で安全な形にしています。
 



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動線計画

洗濯動線

 洗濯動線は洗濯機⇔洗面室内物干⇔リビング⇔バルコニーとなっています。この間にある扉は引き戸で開放しておくことが可能です。洗面室で室内干しが可能です。

 

日照と通風

日照

 旗竿敷地で日照の恵みを受け取りにくい状況です。それでも南側の路地状部分からの日照と吹抜上部からの日照を有効に取り入れるように計画しています。

通風

 通風を意識して各室は出来るだけ2面に窓を設けるようにしています。1階中央にある子供室は縦滑り出し窓を2か所に設けてウィンドキャッチを意図しています。

 

収納計画

 寝室に2.2畳のクロゼット。子供室に幅1間のクロゼット。1.8畳の納戸、階段下収納。シューズクロゼットの代わりの外物置。2階には大き目のパントリーを設けています。

 

光を生かす白い壁の外観デザイン

 

 外観として見えるのは敷地延長の通路部分からだけ。幸いに敷地延長部分が南側なので短い時間だけですが南からの直射日光を取り入れられます。その光を逃さないようにバルコニーを設けました。外部からの視線を遮るためにバルコニー部分の格子を設けました。

 色彩計画はもちろん白です。この家が建つことで近隣の方は光を失うことも有ります。白い家は乱反射して周囲の家の窓に光を届けることが可能です。そしてこちらの窓にも光が入ってきます。

 

インテリアデザイン

 2階LDKの最大のメリットである屋根形状を自由にデザイン出来る。という事を生かして吹き抜けとロフトを設けています。吹き抜けを利用してハイサイドライトからの豊な光を取り入れるようにしています。ダイニングの窓からは隣の家しか見えませんが壁にするよりは開放感だけは大きいと判断しました。

ハイサイドライトに関しては下の記事に詳しく書きましたご覧ください

ハイサイドライトとは?有効な利用法、デメリットと対策(建築士の道具箱)

まとめ

 旗竿敷地の制約の中でいかに豊かな生活が出来るか。そのような挑戦でした。旗竿敷地でも広大な敷地でも抜けを感じるのは窓の外の抜けです。隣地の庭や路地状部分そして空へ開かれた空間は伸びやかな気分で過ごすことが出来る家になったと思います。
 この間取りの住まいが末永く幸せな生活の場になってくれることを願っております。

この記事を書いた人

atoriekojima