注文住宅間取りで失敗しない方法 基本編 3つのポイント

出典:ポプラ社

間取りで失敗しないための心構え(マインド偏)しなければいけないこと(実践編)やってはいけないこと(NG偏)の3つのポイントからお伝えして行きます。



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1、間取りで失敗しないための3つの心構え

 「間取りの失敗」には具体的なことを少しばかり取り上げて語ってもお茶を濁すばかりで語りつくせない問題があります。一つ一つの困難は臨機応変に対処するしかありません。それが出来るようになることが肝心です。それが出来るようになるためにはマインド=心構えが大切です。良い間取り、良い家はあなたが求めて手に入れるものでお金を出せば黙っていても手に入るものではないのです。

 

1-1、施主は指示監督するポジション


出典:読書のお時間

 

 スポーツで「名選手が名監督とは限らない」といいます。逆に名選手でなくても、そのスポーツをやったことすら無くても上手く監督業をこなしている例があります。バスケ漫画「スラムダンク」の安西先生のように。

 あなたは家作りにおいて、この指示監督するポジションであることをを常に意識してください。あなたが指示監督して使いこなさなければいけないのはハウスメーカーや工務店や設計事務所などのプレイヤー=担当者者です。
 この監督というポジションで最も大事なことは進む方向を決めることです。次にその方向にプレーヤーがまい進するように指導監督することが仕事です。時には褒めて時には脅し貴方の掌に載せるようにしてください。

そんなに強く出ないと行けないのですか?という言葉が聞こえそうです。そのくらいの覚悟でいてください。決してあなたの希望を叶えてくれるお友達と勘違いしないでください。相手はあなたのお金が目当ての「狼さん」なのですから。

 

1-2、担当者を知ろう

 前項でご自分が指導監督する立場である事が分かっていただけたと思います。次に知らなければならないのはプレーヤーです。ここで言うプレーヤーとは貴方が発注する先のハウスメーカー、工務店、設計事務所等の担当者です。貴方は監督ですからプレーヤー=担当者を正しく把握しなければなりません。担当者の状態が下の3つの状態のどれにあるか早い段階で把握する必要があります。

○ 能力が有ってお客様に満足してもらおうとする気持ちが強い状態

 これが理想ですね。新米監督はプレーヤーがみなこの状態だと勘違いしたりそのように思いこもうとしたりします。けれどもそうでないことが少なくないのでしっかり見破ってください。

× 能力がなくお客様に満足してもらおうとする気持ちが無い状態

 ハッキリこの状態であることが分かったら、担当の上司に担当を変えてもらってください。それが出来ないのならその会社とのお付き合いをやめるようにしてください。ただそれがはっきり見えないのが問題ですね。

△能力はないけれど熱心そうに見える状態

 このタイプが一番多いかもしれない。そんな風に感じます。営業職は歩合制がほとんどです。お客様に買ってもらう事が生活して行くことです。そこでお客様のためになる様にすれば自ずから結果が付いてくる。という事を知っている人は成長します。中には上手いこと取り入って契約書にハンコさえ押してもらえば良いと考える人が少なくありません。

 この3つの状態は統計を取ったわけではありませんが○3:△4:×3位の割合ではないかと思います。能力と熱意のある状態の担当に当たるのはそんなに低い確率なのかと感じますが諦めないでください。実践編で対策をお教えします。
 インターネットで住まいづくりのコンサルタントをやっている仲間の話を聞いても「住まいづくりが成功するかどうかは担当者にかかっている」といいます。私もその通りだと考えています。能力と熱意のある良い担当者はあなたが正しい判断をするための情報を適切に提供してくれるはずです。

監督であるあなたは状況を冷静に判断して、必要であれば、毅然とした態度で選手交代を告げる。そのようなことが有るかも知れないことを意識のなかに置いてください。

 

 

1-3、あなたの家族が家に求めることを明確にしましょう。

要望書ひな形

 旅行を計画する時にはまずその旅行でやりたいことや目的地を考えます。水泳、水遊びをしたいときにはグアムやハワイに行ったり海に行ったり近所の川に行ったりします。決して山に登ろうとはしませんね。
 同じようにあなたが家を建てることで何をしたいのかを考えましょう。もちろん当たり前のことが多いですよね。日当たりが良く夏涼しく冬暖かい家。地震や台風でも壊れない。子供を安全に育てたい。明るく楽しい家にしたい。その当たり前のことをしっかり押さえておきましょう。それに加えてあなたの家ならではの希望も叶えたいですね。菜園をしたいとか、書斎が欲しいとか、家族で料理出来るようにしたいとかです。

 全部叶えると敷地に入りきれなかったり予算がオーバーしたりすることがあります。優先順位を考えておくことも大事です。これをまとめたものが「要望書」になります。
最初の打ち合わせの時に「要望書」を担当者に渡してください。
 これが旅行でたとえた「やりたいこと」と「目的地」です。これは忘れないように書いて家族みんなと共有してください。
 この目的を達成するようにプレイヤーに伝えてその方向に進むように指導監督して行きます。担当者によっては売りたい商品を押し付けるようなことも有ります。「やりたいこと」「目的」がはっきりしていれば押し流されることはありません。
 住宅展示場などで目新しい提案に触れたりすると「これも良いかな」と心が揺れることも有ると思います。そんな時にはちょっと冷静になって目的地を思い出してください。目的地に向かう提案であれば前向きに検討するのも良いでしょう。そうでなければ水遊びをしに山に登ってしまう事になりかねません。原点を忘れないようにしてよく検討することが必要です。

「要望書のひな形」(マイクロソフトワード形式)をご希望の方は記事の一番下のメールフォームからお申し付けください。

 

2、間取りで失敗しないために実践すべき8つのポイント

 

2-1、3社に提案を依頼しよう

 能力が有ってお客様に満足してもらおうとする気持ちが強い理想的な状態の担当に当たる確率が3割くらいだろうという事を前項で書きました。残りの7割に入ってしまわないようにするためには3社から提案をしてもらえば確率を10割近くに出来ます。3社の中から有能で熱意のある担当を探しましょう。確率を上げるために5社も6社もというのは貴方の日常生活の時間が無くなるので避けてください。

複数の会社からの提案を受け取るのは下のバナーをクリックしてください。このサイトからご利用いただいた方の特典として無償で「間取りのアドバイス」をさせていただきます。(3回まで)下のメールフォームからご連絡ください。

 

 

 

2-2、担当者を使いこなそう

 監督であるあなたはプレイヤーである担当者を使いこなさなければいけません。担当者を犬に例えるのはいかがなものかと思いますが、犬は飼い主の指示があいまいだったり優柔不断だったりすると自分が主導して飼い主をコントロールするようになります。そうならないようにあなたのコントロール下に置くようにしてください。それが出来るのは、犬で例えると餌が手元にあるとき、担当者だと契約書のハンコですこの段階でしっかりと方向付けしておきましょう。
 契約書にハンコを押した途端に手のひらを返したようになったという話を聞くことが少なくありません。また「その話は契約後に」といっておいて契約後には担当者が立ち会わない詐欺のようなシステムだったりする事さえあります。

 

2-3、判断して決定するのは施主、判断するのに必要な情報を提供するのが担当者

 

 初めて家を建てるあなたの知っていることはほんの少しの事です。知らないことは悪い事ではありません。わかったつもりだったり分からないけれど担当者に押し切られて行動することが最悪のやり方です。
 ポイントはあなたが正しく判断できるように情報を提供するのが担当者の仕事と理解して判断できる資料を用意させることです。それが出来ない担当者は能力のないプレイヤーですので退場を指示してください。大変な決断のようですがあなたの人生が掛かっている住まいづくりの成否を決めるポイントですので一歩も引けない状態であることを意識してください。

 

2-4、間取りに家具を書き込んでもらう

 このサイトにある間取り図には車や家具が書き込んであります。それはそこでの生活をイメージしやすいことと、家具を置いたときに支障が無いかをチェックする意味です。「間取り図には家具を書き込んでください」と指示してください。

2-4-1、車の大きさと駐車位置

 駐車スペースは敷地の中でも大きな面積を取られます。間取り作りに大きな影響を与えることなで設計の良否の大きなポイントです。

2-4-2、平面図の部屋に家具を配置してもらう。

 玄関に靴箱、リビングにソファーとTV、ダイニングにダイニングテーブル、寝室にベッド、子供室にベッドと机などを書き込んでもらいましょう。ピアノなど特別なものを置く場合はその位置も書き込んでもらってください。
 設計者によっては家族で食卓を囲むという経験をしたことが無い人もいるようでカウンターだけで済ませるような図面を見ることもまれにあります。
 リビングにTVを置こうとすると窓やドアやふすまなどの開口ばかりで置く場所に困ることがあります。図面のうちに解決しておけば良いのですが家具を入れていない間取り図で打ち合わせが進んで、チェックできていないまま工事が進み、引き渡し後の引っ越しの時に大騒ぎになるというような事もあります。

 

2-4-3、動線

 このサイトでも設計上動線計画が重要要素になっている場合に「動線」を記入しています。貴方が家事動線や客動線などにこだわりが有る場合には図面提出の時に動線を記入した図面も提出してもらう様にしてください。

「間取りで失敗しない方法」と題したサイトには施主が図面をチェックするときのツールとして「動線」を扱っているものもあります。貴方が間取りに暮らしてみて間取りを理解する役に立つというメリットがあります。けれども担当者に初めから図面に書き込んでもらうように依頼する事で設計者が動線を意識して間取りを作るようになります。貴方は確認するだけで済むようになり、貴方が初めからチェックして不具合の変更を指示するよりも効率的です。

この項に書いた。家具を図面に入れるのは設計段階で当然考えていなければならないことです。動線は図面に書き込みことは少ないですが設計段階では考慮されているはずです。それを図面に落とすだけなのでそれほど大きな作業量ではありません。遠慮しないで依頼してください。

 

 

 

2-5構造と断熱気密性能は数字で示す

出典:一般社団法人住宅性能評価・表示協会

 構造と断熱気密に関しては具体的な数値で指示しなければなりません。どちらも長期優良住宅制度に適合する仕様にしてもらう事を基準に考えてください。具体的には
構造は耐震等級2以上
断熱気密性能は断熱等性能等級4以上
となります。

長期優良住宅制度に関してはここでは説明しきれませんのでリンクを貼ってあるのでそちらをご覧ください。

「要望書ひな形」には下のように記入しています。そのままの形でご利用ください。

1、住宅の基本性能について
住宅の基本性能は長期優良住宅制度に適合する仕様にしてください。特に構造と断熱気密性能は下の数値以上としてください。
・構造は耐震等級2以上
・断熱気密性能は断熱等性能等級4以上
長期優良住宅制度の申請に関しては費用により判断しますので見積書に記入してください

 

 

2-6、間取りをチェックしよう

 担当者から間取り図が提出されたら一緒にチェックして行きましょう。用意するものは「要望書」と「間取り図チェックリスト」です。面倒でも項目一つ一つにチェックを入れて行きます。

2-6-1基本事項に間違いがないか

敷地について
・敷地の形、大きさが正しいか
・真北方向、向き
・道路の位置と巾

2-6-2間取り図をチェック

・要望書通りの部屋と部屋数が有るか

等々チェックリストの項目を一つ一つチェックして行きます。

「間取り図チェックリスト」(マイクロソフトワード形式)をご希望の方は下のメールフォームからお申し付けください。

 

 

2-6-3日照チェック

 

 日照に関しては上のような窓の光が分かる画像を時間ごとに変化する動画で見せてもらうとわかりやすいのですがそれが出来ない時には、打ち合わせの時に

・朝日がどこから上がってどこに沈むか

・日中の日当たりはどうか

・夏の西日がどう差し込むか

の3点をを聞いてください。これをすることで日当たりの良い家になっているかどうか確認できます。そして担当者に意識付けすることが出来ます。

 

2-6-4廊下の長さと形をチェックしよう

間取り作りで部屋の配置が未熟な状態のときには廊下が長くなったり曲がりくねっていたりします。50万円/坪の家だとすると廊下1.82m当たり25万円になるのです。この廊下長いな、曲がりくねっているなと感じたら部屋の配置と階段の位置を検討しなおしてください。

2-7、記録を取る事

 ビジネスの打ち合わせでは当然のことですが打ち合わせ中にはメモを取ってください。言った言わないの問題ほどつまらないことはありません。「これはサービスです」というような重要項目はその場で確認して記録すると同時に、次回の打ち合わせで確認し、契約書に記入が有ることを確認するようにしてください。メモを取る行為自体がいい加減なことは言えないというプレッシャーになります。言葉は悪いですが舐められないようにするためにも大事なことです。

 

3、間取りの打ち合わせでやってはいけない5つのNG

 

 要望書で要望の方向性を示す必要はありますが、あまり細かく具体的な指示を出してしまうと設計者の提案の幅が狭くなります。また無能な担当者の逃げ口上を与えることにもなりかねません。プロの提案を引き出すことにより良い間取りを手に入れるようにしてください。

 

1、部屋の大きさの畳数を明示するのはNG

 その時々に流行っている数字が有るように思います。例えば「LDKは20畳」という要望が続いたことがあります。ある人気ブログに乗った数字のようです。確かにある規模の住宅ではそれなりに妥当な数字です。敷地の状況や他に大事な要素を持つ住宅の場合「要望書」にその数字を書くことにより設計者の提案を縛ってしまうことになりかねません。

 コンサルタントとして間取りを提案する立場だと率直に提案できますが、その図面で工事の仕事を取らなければならない立場だと「20畳」という数字を変更することがリスクになります。貴方が欲しいのは「20畳」ではなくゆったりとくつろげるLDKのはずです。「20畳」と書かずに「ゆったりとくつろげるLDK」と書くことが大事です。子供室も寝室も同様な配慮が必要です。

 

2、教科書に書いてあることを要望書に書くのはNG

 「総二階で出来るだけ凸凹が無い形」と書いてある要望書がありました。1階の所要室にLDKのほかに和室、サンルームの書き込みもあります。2階の所要室は子供室2室と寝室、予備室、トイレ、そして吹抜はNGということです。この要望の内容だと総二階にしないで一部に屋根が出来るのが普通です。総二階にするには1階を切り詰めて小さく納めて2階を無駄に広くする必要があります。工務店さんの図面はその通りになっています。凸凹を無くすために行燈部屋ができたり変形した部屋などのある残念な間取りになっています。
 なぜこのような要望にしたのかをお聞きすると、断熱性能や構造に関しての記事の中で総二階で凸凹が無いほうが合理的という事が書いてあったのをみたのでという事でした。十分な知識のないままにある部分の合理性を求めると、他の部分の合理性を欠区ことにもなりかねません。

あるレベル以上の設計者は放っておいても総二階で凸凹が無プランに近づけるようにするものです。構造や断熱性に合理的であることは経済設計でもあるからです。
このような時には構造や気密断熱の性能確保を要望書に書くことで用が足りると考えます。

 

3、自作の間取り図を見せるのはNG

 間取り相談の中で30件に1件くらいの割合で工務店から出た図面が「私が書いた間取り図を清書しただけで何の提案もない」といわれることがあります。コンサルタントの場合自作の間取りを見せられても「何がしたくてこの間取りになったんですか?」というような質問をすることが出来ます。けれども工務店の設計担当は営業担当から手渡された図面をみてより良い提案をするかこのままの図面の清書したら良いか悩むそうです。時間が有るときは別案も作れますが、時間が無い時などは問題が有るのを知りながらお客様の作った間取りを清書するようになる。という事です。なぜなら提案することによって工事が取れなくなるリスクを避けたいからです。
 間取り図を依頼するのはより良い間取りを提案してもらうためのものです。良い提案を阻害するような事は避けることが賢明です。

 なおご自分で間取りを作ることは間取りを理解するためにも役に立ちますのでどんどん書いてみてください。とても楽しいことです。

 

4、脅しに乗るのはNG

 リンガーの「脅しの理論」には「取り分は、脅された量に反比例」するとされています。恐ろしい話ですね。百戦錬磨の営業は様々な方法で脅しをかけてきます。その一つが「今月末までに契約していただければ100万円の値引きをします」というセリフです。早くハンコを押さないと損しますよという脅しです。
 その100万を損しないために間取りに納得できていないのにハンコを押してしまうともっと大きな損をする事になります。以前住宅の営業をしていた方のお話では「翌月も同じことを言います」という事なので時候のあいさつ程度に考えましょう。

 

5、良い人になるのはNG

 人は「良い人」になりたがるものです。施工会社の担当者と親しくなるとその人に対して良い人を演じたくなるものです。心にそのような動きが有ったらしっかり心を引き締めてください。相手は仕事で自分の生活のためにしていることです。断りずらくするために親しさを演出します。「営業でお客様を訪ねる時には雨の日や寒い日など大変な日に行って哀れを買え」というようなテクニックがあると言います。
 担当者の努力に感謝する気持ちは大切です、感謝しながらもあなたの理想への道を曲げることをしてはいけません。

 



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まとめ

 間取りの失敗はその家に住んでいる間ずっと残念に思う事になります。そのようなことが無いようにするにはあなたの心づもりが基本にあり、失敗を防ぐ知識を持ち、知恵を働かせることが大事です。簡単な方法はなくちょっとした努力が必要です。
 今まで使ったことのない大金を使うのですから、今までにない慎重さと大胆さが必要です。ハウスメーカーや工務店といったその道のプロと渡り合わなければならないという事も意識においてください。
 本文では犬に例えてしまいましたが、本来であれば担当者は家作りの大切なパートナーです。信頼できる担当と出会って幸せな家作りになることを願っております。

 

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    この記事を書いた人

    atoriekojima