洪水、土砂災害!!災害回避と減災のための5つの対策

出典:ロイター

京都の清水寺の2018年の漢字は「災」だそうです。

多くの災害がありました。そのせいか今回立て続けに同じ悩みの相談がありました。

皆さん洪水や土砂災害の危険がある地域に敷地がある方です。

洪水被害や土砂災害に遭わないため

そして被害を減らす方法を間取り作りの立場から提案して行きます。

アイキャッチの写真は2018年の西日本豪雨災害の時の倉敷市真備町の写真です。

 



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ハザードマップ通りだった西日本豪雨災害

出典:朝日新聞デジタル

2018年7月16日の西日本豪雨では倉敷市真備町始め広範囲に渡り大きな被害がありました。

倉敷に住む知人の情報では「倉敷市のハザードマップ通りの洪水だった」という事です。

新聞でも報道されていますね。

科学的な推論で行われているシミュレーションですから、ある条件になればその通りになる事は当然なのですね。残念ですが。

1、土地を買う時にはハザードマップを見て判断

アトリエコジマでは間取り作りの際には必ず敷地に関しての安全性の調査を行っています。

 

土砂災害警戒区域の土地を買わなかったTさんの、君子危うきに近づかずの例

土地の購入を検討していたTさん。

他の土地で検討して間取り図までできていたのですが、、、

不動産屋さんから「良い物件が、格安で売りに出ました」というお話。

駅に近くほぼ正方形の土地。

南側道路で北西の山からもかなりの距離。

Tさんもすっかり気に入って「去年の1/3の価格で、という不動産屋の話です」と喜んでいました。

私も地形や道路付きなどを調べてみました。

なかなか良さそうだなと思いました。

確認のためにハザードマップを見ると、、、、

残念ながら土砂災害警戒区域でした。

山からは距離があると思っていたのですが

敷地の裏の小川が険しい谷の延長上に有ってそこまで土石流が流れてくるような表示でした。

 

それをご報告すると

「何とかなりませんか?」とあきらめきれないご様子。

 

「お気持ちは良く分かります。ただ50年に一度の大雨が降ったら土石流に飲まれる恐れがあります。最近は50年に一度どころか今までに経験したこともない大雨が頻繁に起こっていますネ」と念押しすると。

「残念ですが、諦めます」とのことでした。

その地方に大雨、洪水、土砂災害などの予報やニュースがあると

その敷地の場所でなくても土砂災害警戒区域の土地を買わないで良かったな。と感じます。

君子危うきに近づかずの例です。

 

不動産に格安、掘り出し物は無い

 

「不動産に格安、掘り出し物は無い」という知り合いの不動産屋さんの言葉を思い出しました。

「どうして?」と尋ねると

「本物の格安掘り出し物だったら自分で買って高く売ります」との答え。

なるほどもっともな話ですね。

2、洪水時の深度0.5m未満の時

ハザードマップで洪水時の水深が0.5m未満の時。

このケースでは余り迷う事はありません。

他の条件が悪くなければ良しと判断しています。

多くの敷地は道路より若干高くなっています。

また一般的な木造住宅では1階の床の高さは地面から0.6m位なので

洪水時の震度が0.5m未満の場合には床下浸水で留まることになります。

出典:団欒の生まれる家づくり

最近では上の写真のような床下換気が凹型の開口がなくなりましたね。

そのため地盤面から約40cmの土台下まで基礎が上がっていますので床下浸水の被害も少なくなっています。

 

道路から低い敷地の例

中国地方のYさんの例

水深は0.5mでしたが敷地は田んぼの跡地で道路より若干下がっていました。

このような道路よりも低くなっている敷地に関しては

道路レベルプラス0.1~0.5m位の盛り土をしていただくように

アドバイスさていただいています。

 

 



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3、洪水時の深度0.5~1.0m未満の時

ハザードマップで洪水時の水深が0.5~1m未満の時は

他の土地を選定することも視野に入れて検討をしていただくようにしています。

それでも道路より敷地がを0.5m位高くなっているような場合は

前項と同じで床下浸水で留まることになります。

そのことをご報告して了解の上で決定していただきます。

 

4、洪水時の深度1m以上の場合

敷地選びで他の選択肢があればそちらを選択するようアドバイスさせていただいています。

基本は洪水の無い土地を選ぶことにつきます。

5、洪水対策

とはいえすでに決まっている敷地を変えることは困難です。

その中でより安全にするための方法を提案いたします。

文化シャッターの止めピタ

洪水のある地域での洪水対策を考えて行きます。

大雨や洪水のニュースでは土のうを積んでいる様子が見られます。

大変な労力ですね。

 

土のうに代るものとして文化シャッターから止めピタという商品が出ています。

0.2mmの厚手のビニールシートを開口部の外側に取り付けて止水する方法です。

外から水圧がかかるので大きな穴ができなければ止水できるのですね。

下の動画で見ると簡単に設置できそうですね。

5分25秒の動画です。お急ぎの方は1分の所からご覧ください。

 

もちろんこの製品を用意する方法が確実です。

住宅の場合玄関やタイル張りのテラスなどには有効です。

簡単でなおかつ土のうを積むよりも防水性能は高いようですね。

 

関東北部のK さんの場合

関東北部のK さんの場合

敷地の位置は洪水時の深度が1m未満とされています。

地盤は道路から50cm位上がっているようです。

玄関の部分とリビングの掃き出し窓の防水が必要です。

掃き出し窓にシャッターが付いているのは効果的な洪水対策になっていると考えます。

玄関については止めピタの商品が取り付けられます。

リビングの掃き出し窓については地面から高い位置にありますので

地面に代る受け材を設ける必要があります。

止めピタの設置に関しては、お近くの文化シャッターの販売店にお問い合わせください。

お心当たりの無い方は右のメールフォームからご連絡ください。

応用とDIY

止めピタはビニールシートをドアやシャッターの外側に張る事で防水をする方法です。

ビニールシートとそれを固定する方法があれば簡単に応用が利きます。

0.2mmのシートは10cm単位でインターネットで買うことが出来ます。

 

ドアの部分は1.2m掃き出し窓の部分は2mの幅で足りますので4,000円足らずで用意できます。

下のような粗面用両面テープで止めることが出来ます。

 

防水性の高さにこだわる場合。ブチルゴムの防水テープがあります。剥がした後に黒い接着剤が残るのであまりお勧めは致しません。

 

両面テープの場合雨が掛かっている状態では十分な接着力が確保できません。雨になる前に用意することをお薦めします。濡れている場合は木材などでシートを抑えてビス止めするなどの方法が有効です。

6、浸水シャッター

文化シャッターの止めピタに近い商品として関西化工の止水シートがあります。こちらの方が簡易に設置できますね。吹田市や枚方市には助成制度があります。あなたのお住まいの自治体にもあるかも知れません確認して見てください。

 

7、簡易土のう袋

土のうを積むのは大変な作業ですが。水を吸って膨らむ土のうがあります。薄い紙おむつが水を吸って分厚くなる、あれを利用したのですね。賢いですね。沢山の製品があります。アイリスオーヤマのような身近なメーカーもありますがお薦めはこちらです。旭化成の「アイパック吸水土のう」です。

 

これの良いところは脱水剤も用意している所です。

吸水土のうは水を吸ってしまうと扱いにくいようです。

水が引いた後の処理が大変という口コミがあります。

この排水剤を用意してあるところが利用者の事をよく考えている証ですね。

8、災難に逢う時節には災難に逢うがよく候

出典:良寛記念館

「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候」えらいことを言う人がいますね。

これを言ったのは私ではありません。

良寛さんです。

誤解しないでくださいね。

良寛さんが地震で被害にあった親友の山田杜皐(やまだとこう)という俳人に宛てた見舞の手紙に書いた歌にあるそうです。

災難に逢う時節には災難に逢うがよく候

死ぬる時節には死ぬがよく候

是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候

かしこ

と言っているそうです。

中部地方のNさんは盛り土50cmはコストが掛かりすぎる。損害保険で賄いますとのこと。

それも一つの方法ですね。

まとめ

2018年の西日本豪雨のときの被災者へのインタビューで「ハザードマップは見たことがあるかもしれません。

行政の連絡かなんかだろうと思って良く見ていなかったのでは」という言葉がありました。

現実になるまではそのような恐ろしいことが起こるとは想像できないものです。

そしてあえて想像しないようにするのがヒトの性質だそうです。

家作りの時にはしっかりと見据えて対策を考えておきたいものですね。

この記事を書いた人

atoriekojima