直線の階段は落ちた時に危ないので、踊り場があると安全と聞きます」
と納品後の間取りの変更のご依頼がありました
本当に安全な階段とはどんなものでしょうか?
確認してみましょう
階段の事故4つの原因
こういう感じです
3尺マス目で3つの大きさを13段で上がるようにしています
階段事故の内容
事故の内容は
これは2~3回経験が有りますが
誇張ではなくて命の危険を感じました
主に尾てい骨から背中、後頭部が痛かったように記憶しています
もう一段直階段が有ると勘違いして
歩幅を間違えて落ちたのだと思います
これは命の危険は感じなかったもののびっくりします
足首を痛める怪我をして上から落ちた時よりも大変だったように記憶しています
階段事故の原因
階段事故原因を考えてみましょう
この原因は
・手すりが無かった
・階段の勾配が急だった
この3つでした
この原因は
・手すりが無かった
・回り階段では中央に近いところは100mm位しかなく
上から降りてきて急に踏み面が狭くなるのでリズムが崩れて踏み外した
階段事故の対策
・滑りにくい素材を使う
・手すりを付ける
・階段の勾配を緩くする
・回り階段をやめる
という事で多くの問題は解決できると思います
滑りにくい素材を使う
滑りにくい加工などがされているので良くなってきています
住宅用階段ノンスリップを利用する
住宅用階段ノンスリップを利用するのも一案です
手すりを付ける
私が落ちた階段でも手すりさえつけていればバリアフリー基準1の
基準内だったことがわかりました
確かに手すりさえあれば上から下まで落ちる事も無ければ
回り階段で踏み外しても転落はしなっかったと思います
写真は大建工業さんからお借りしました
手すりの途中にあるこぶ=グリップの説明用の写真です
握力の弱い高齢者でも滑らないような配慮です
建築基準法で最低片側に手すりを付けるように義務化
平成12年に建築基準法が改定されて
住宅の階段にも手すりの取り付けが義務付けられました
安全な階段の基準とは
階段の寸法の蹴上、踏面って何?
階段の話には必ず蹴上(けあげ)と踏み面(ふみづら)という言葉が出てきます
蹴上は1段の高さ、踏み面は1段の奥行(真上から見た)です。
家が出来上がるまで覚えておくと何かと役に立つと思います
住宅性能表示制度 高齢者等配慮対策等級
高齢者等配慮対策等級に詳しく示されています
簡単にわかるような配慮が足りませんね
私なりの分かりやすさで表現してみましょう
階段断面
等級1、等級2、3、等級4、5を横から見ると下の図のようになります
階高や踏み面の寸法などは仮の設定です
設計者、施工者によってまちまちです
等級1では怖くて昇降したくないですね
等級4、5だと安心して使えそうです
実施の設計では階高や段数を適宜決めて行くことになります
高齢者等配慮対策等級1
建築基準法と同じ内容巾70cm以上、蹴上23cm以下、踏面15cm以上、手すり付きですから
上で紹介した私が落ちた階段でもクリアーできているのですね
これから建てる家にはとてもお勧めできるものではありません
高齢者等配慮対策等級2,3
高齢者等配慮対策等級2,3の基準では
蹴上(R)/踏み面(T)≦22/21です45度以上の勾配なのですね
あまり優しい寸法ではないように思えます
550mm≦2R+T≦650mmこれは人間工学からくる寸法で
成人の平地での歩幅約600mmに対して
階段では蹴上の2倍を加えて約600mmにすると丁度良いということです
3マスを14段で上がっています
実はこれも余り緩い階段ではありません
等級3で回り階段を作ると
こんな感じです
よく見かける階段ですね曲がり部分を5段で回っています
6段にしても段板の納め方によっては等級3が可能ですが
これもお薦めは出来ません
高齢者等配慮対策等級4,5
高齢者等配慮対策等級2,3より勾配を緩く設定しています
蹴上(R)/踏み面(T)≦6/7です40度程度の勾配です
片側手すりで等級4、両側手すりで等級5になります
これ位だと安心ですね
等級3の直線階段は3マスで納まりますが0.5マス増やすだけで
等級4になるんですね
高齢者等配慮対策等級4,5折り返し階段
3尺グリッドで約6マスです
等級3の直線階段が3マスで納まる倍の面積が掛かります
折り返し部分に1段の段を付ける方法もありますが
コンパクトに納める効果はありません
階段の安全の考え方
「直線階段だと階段を踏み外して転落したら下まで転げ落ちる
折り返し階段であれば半分で止まるから安心」
というのが根拠のようです
・踏み面の大きな勾配の緩い階段にして踏み外さないようにする事
・踏み外しやすい回り階段を避ける事
・踏み外して転落しないように手すりを設ける事
という考えが国土交通省による基準から読み取れます
まとめ
・滑りにくい段板を使う事
・勾配を緩くする事
・回り階段を避ける事
・手すりを付ける事
この4つが安全な階段を作るポイントです
間取り作りの負荷は比較的小さくて済みますので
利用したいですね