日当たりの良さは方角で決まる!快適な家は太陽に素直な家作りから

東西南北で示される「方角」は日が昇るのが東、日が沈むのが西、東と西の中央の太陽が最も高くなる方向が南、その反対が北、当たり前ですね。方位磁針の北は今の時代にたまたま地磁気の向きと近いだけで真北とは異なります※。太陽の軌跡が東西南北の「方角」の元です。日当たりの良い家になるかどうかは「方角」の影響を強く受ることは自明のことですね。日当たりの良い心地よい家作りは太陽の軌跡と方角で異なる日射の効果を理解して初めて実現できるものです。
※チバニアンの例でわかるように何万年単位で見ると地磁気の方向が逆転することもあるものです

方角と太陽の軌道

太陽軌道と方角の関係をおさらいしておきましょう。春秋分の時、春と秋のお彼岸の日です。この時だけ真東から日が昇り真西に沈みます。夏には真東より北側から日が昇り真西より北側に沈みます。冬はその反対で真東より南側から日が昇り真西より南側に沈みます。

方角と日照効果

窓の向きが東、南、西、北の方角で日照の効果がどのくらい異なるか調べてみましょう。

田の字シミュレーション

4畳半の正方形の部屋にW1.65mxH2.0mの窓を外壁の中央に設けました。その窓が東、南、西、北に向くように4部屋を田の字型に配置しています。地域は東京で設定しています。

田の字プラン.jpg

この状態で日射熱室内取得がどのようになるかシミュレーションしてみましょう
12月22日の冬至の日に4つの部屋に入る日射の熱量は下の図のようになります。

日射熱取得累計.jpg

南  7029Wh(100%)
西  2928Wh(42%)
東  1255Wh(18%)
北   856Wh(12%)
北の窓は南の窓に比べて12%しか日射取得できません
これを動画で見ると下のようになります

正午前後の南側からの日照が大きな熱量を提供しています。このような事実を知ると南側の窓が大切なことがお分かりいただけると思います

南の窓は「だれでも拾えるお金」

エコハウスで有名な松尾和也さんの言葉に「南の窓はだれでも拾えるお金」というのがあります。関東地方の南向きの1.8mx1.8mの掃き出し窓は、600Wの電気ストーブの効果があるという事です。大切にしたいですね。

窓の大きさは南>>東>西>北にする

窓は日射のメリットがあるだけでなく熱が逃げるデメリットがあります。日射取得のメリットの少ない方角の窓は、採光や解放感などのニーズを満たしたうえで最小限にすると温熱環境として合理性が高くなります

方角で見る日当たりの良い敷地

南側に高い建物や擁壁、林などがあって、敷地に影を落とすようなときは日当たりが悪いということは当たり前です。南側にある日差しを遮るものから十分な距離があれば、その敷地には日が良く当たります。日当たりの良い土地を探すときには、以下の2つのポイントを押さえてください。

  • 南側に道路や水路や公園など建物や日当たりを遮るものがない敷地
  • 敷地の南北の寸法が十分にあって敷地内の南側に空地が取れる敷地

土地の選定にあたっては、現地に行ってサンサーベイヤーで測定したり、日当たり君でシミュレーションして確認することが大切です。詳しくは「日当たりシミュレーションで安心!日当たりの良い土地選びと住宅設計」をご覧ください。

方角で見る日当たりの良い建物

日当たりの良い建物にするのには3つの原則があります。

1. 敷地内でできるだけ北に寄せて建てる(南の建物の影から逃がす)

南にある日当たりを遮る建物などからできるだけ距離をとって建てることで、家の日当たりに影響を受けにくくなります。建物の配置だけではなく2階、3階の位置を北に寄せることも大事なことです。

2. 建物の平面で南側に凸凹を作らないようにする(自己日影を防ぐ)

建物の凸凹は凸の部分の影が凹の部分に当たり、日射が阻害されことを「自己日影」といいます。建物の南側にこの凸凹を作らないようにすることで、自己日影を防ぐことができます。

3. 日当たりの良い南の壁に窓を付ける(日射取得)

日当たりが良い建物でも、窓を付けなければ「日射取得」はできません。各部屋に窓を取り付けるのはもちろん、日当たりの良い南側の壁にも大きな窓を付けることをおすすめします。

この文章を読むと「そんなの当たり前だろう」と思う方も多いと思います。しかし日当たりシミュレーションの仕事で月に5~10件くらいの建物を拝見していると、この当たり前のことができていないことがとても多いのが現実です。

次にその原因と対策を考えてみます。

日当たりの良い家が建てられなかった理由と問題点

日当たりの良い家になっていない物件では「どうしてこのような設計になったのでしょうか?」とお聞きするようにしています。その質問に対して以下のような回答を多く聞きます。

  1. 南側の道路や建物からの視線が気になって窓がつけられない
  2. 大きな窓よりも横長スリット窓が好きだから
  3. 設計士に任せておけば日当たりの良い家になると思っていた
  4. 家事動線や収納やインテリアや設備にこだわって日当たりのことは考えなかった
  5. 「日当たりの良い家にしてください」と営業担当に伝えていたのに…

1~4は設計段階で「日当たりの良い家にする」という強い意思がなかったことが理由だと考えられます。

これから計画して設計を進める方はぜひ「日当たりの良い家にする」という意識をもって進めることで「こんなはずではなかった」という事態が避けられます。

最後の5に関する回答はとても大きな問題です。

事前に「日当たりの良い家にしたい」という意図を持って営業担当に伝えたのに、実現できていないということです。

設計を依頼する際は確かな設計力のあるところへ依頼することが大切です。ココナラブログに「施主が出会う4種類の設計担当者」という記事を書いていますので設計者選びの参考になさってください。

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【まとめ】
日当たりの良い家を建てるなら方角と太陽の軌道を意識しましょう。日当たりの良い家は「方角」の影響を強く受けます。日当りの良い敷地、日当たりの良い建物、日当たりの良い窓は太陽の軌道を意識して土地を選び、設計することで実現できます。

日当たりの良い建物の3原則は以下の通りです。
1、敷地内でできるだけ北に寄せて建てる(南の建物の影から逃がす)
2、建物の平面で南側に凸凹を作らないようにする(自己日影を防ぐ)
3、日当たりの良い南の壁に窓を付ける(日射取得)
設計段階からこれら3つのポイントを意識して進めることが大切です。

この記事を書いた人

atoriekojima