「小さな物音にでも目が覚めてしまう」そんなお悩みのあるご夫婦から
間取り作りのご依頼がありました。
5つの方法を提案しました。
1、寝室を音源から遠ざける
間取り作りの段階で考えなければならないのは寝室を音源から遠ざけることです。
音源となって問題になるのはトイレや浴室と洗濯機、階段の上がり降りも気を付けなければ騒音になります。
また意外に響くのが冷蔵庫の音です。モーターの音に加えて製氷機の音も気になりますね。
これらの音源から部屋の位置を遠ざけるように配置することが大事です。
2階に寝室がある場合には1階のトイレや洗濯機などの位置にも気を付ける必要があります。
間取り作りの大きな制約になりますので全ての間取りで可能という訳には行かない事もあります。
浴室や洗濯機に関しては利用時間が限られていますので使い勝手を考えたり
気遣いすることで対応することも可能です。
間取りで解決すべきことと使い方で解決できることを考えることも大切です。
2、寝室に緩衝空間を設ける
次にできることは緩衝空間を作る事です。
音源と寝室の間に収納や前室を設けることで音源から伝わる音を小さくする方法です。
2-1クロゼットを挟む
寝室と他の部屋の間に収納を設けることは基本です。
また寝室と外部に関しても出来るだけ収納を挟んで計画することで音の伝わりを減らします。
外壁に面して収納を設けるのは断熱性を高める効果も期待できます。
このケースでは2方向をクロゼットにしています。
同じような面積で大きなウォークインクローゼットも作れますが、
「静寂な寝室」か「大きなウォークインクローゼット」かの選択の結果です。
2-2前室を設ける
寝室の4面に収納を設けても出入り口がは必要です。
出入り口からの音漏れも大きな要素です。
映画館のように部屋の前に前室を作る方法があります。
前室のホール側と寝室側と扉を2枚付ける方法で騒音を防ぎます。
仰々しくなく納めるためには寝室に入る前に、書斎やウォークインクローゼットを設けて
その部屋を経由して寝室に入る方法です。
3、遮音する材料工法を考える
静寂な寝室を作る方法として間取りで工夫することとは別に
寝室に音が伝わらないように遮音する方法があります。
遮音は床、壁、天井、窓、ドア全てに関して隙間なく施工することが必要です。
隙間から音漏れしないようにする事が大事です。
丁寧な施工が必要ですので出来れば施主のあなたと施工する方と
施工要領書を確認してその通りに出来ているか確認しながら進めることが理想です。
3-1遮音材
遮音材は吸音材と違って多くの場合鉛のような比重の高い素材や
それを他の材料と組み合わせた複合材で出来ていて音の透過を防ぐようになっています。
ダイキンやリクシルなどの大手メーカーのほかいくつもの会社からいろいろな材料が出ています。
床下地材
出典:ダイケン
ダイケンの遮音マットは荒床の上に敷き詰めてその上に仕上げの床材を張る構造です。
コーキングで隙間を作らないような図になっていますね。
重要なポイントです。
床と壁の接点でも同じような配慮が必要です。
壁、天井下地材
出典:ダイケン
石膏ボードと防振材を張り合わせた材料で天井や壁の下地に用います。
遮音パネルの下の石膏ボードは遮音パネルを張るための下地材です。
3-2防音ドア
出典:リクシル
遮音性能の異なる製品があります。状況や掛けられるコストに応じて選択できます。
3-3窓の防音
・ガラスの共振
出典:防音窓本舗
高断熱化が進んで窓ガラスにはペアガラスを用いるのが一般的になりました。
ペアガラスのサッシで2枚のガラスの厚みが同じだと内外のガラスが共振して音が伝わりやすいという現象があります。
上の図のように中低音域ではペアガラスの方が3mmのガラスよりも防音効果が低いようです。
ガラスの性能を考えるよりも内窓を付ける方が効果が高いようです。
内窓に関しては下の項目をご覧ください
・内窓を付ける
出典:リクシル
音は10dB下がると約半分に聞こえると言われます。
3-4防振吊り木
出典:城東テクノ
寝室が1階にあるようなケースでは2階の音が1階に響いてしまうという事が起こります。
そのような心配はあるときにはこのような制振吊り木を使って振動を抑えるようにします。
4、寝室内で吸音する
寝室の中に入り込んだ音が壁や床に反響すると大きな音が伝わったような感覚になります。
寝室内の吸音性を高めるのも重要な方法です。
4-1天井に吸音性のある材料を使う
出典:ダイケン
壁や天井に吸音性のある材料を使う事が大切です。
上の写真はダイケンのクリアトーンという天井材です。
吸音率0.42%から0.46%の商品があります。
吸音率とはコンクリートのような固い壁で100%の音を反射するものを吸音率α=0
全く反射しない場合を吸音率α=1として表現されるものです。
吸音率が大きいほど吸音性が高くα=0.46だと約半分が吸音されるという事です。
4-2壁に吸音性のある材料を使う
出典:ダイケン
画像はダイケンの「オトピタ」という商品です。
音域ごとに吸音性能が異なる4種類の商品があります。
この商品は後付けが可能です。
入居後に気になる騒音が高音域か低音域かを確認して
吸音したい音をに合わせて設置することが可能です。
4-3床に吸音性のある材料を使う
出典:和幸堂PRO.公式ブログ 内装材研究所
床にラグやカーペットを敷くのも効果的です。
上のように全面的に敷く方法と、下のように部分的に敷く方法があります。
出典:サンゲツ
かつて住宅の床材がカーペットで敷き詰められていた時代があります。
ダニやハウスダストの問題が発生してそのような住宅は見られなくなりました。
最近ではほとんどの住宅がフローリング仕上げになっています。
掃除のしやすさを考えると部分敷きのラグがお薦めです。
4-4カーテンも優秀な遮音・吸音材
意外に大きな効果を発揮するのがカーテンです。
少し厚手のカーテンを窓に付けることで改善された例もあります。
出典:ニトリ
上の写真はニトリの遮音カーテンです。一見薄手のカーテンに見えますが下のような構造になっているのですね。
防音や遮音の機能を持たせたカーテンは他にも色々ありますので静寂な寝室を手に入れる方法は
沢山の選択肢があることが分かりますね。
出典:イケア
これは裏技ですが上の写真のようにクロゼットのドアをやめて厚手のカーテンを取り付ける方法があります。
写真のカーテンは薄手ですが厚手の物を使うと吸音効果があります。
実はカーテンだけではなくクロゼットの中の洋服も大きな吸音効果があります。
5、騒音に耐える心と体つくりをする
電車の線路わきそれも踏切近くに住む知人がいました。
「良く住んでいられるね」と聞くと
「慣れれば子守唄替わりで平気になるもんだよ」と言われました。
かわいいこども園の子供の声も騒音に感じる人もいます。
騒音というのはそのようなものです。
静寂な部屋にいて時計のチクタク動く音がやけに大きく聞こえて気になってしまう事もあります。
ある程度の静寂な寝室が出来たらそれ以上静寂性を求めないで安眠する工夫も大切だと思います。
2つ提案させていただきます。
筋トレ
ストレスを抱えて仕事をしている時代には毎週土曜日にトレーニングジムに通っていました。
身体も心もくたくたな状態でジムに向かいます。
ジムでガッチリとしごかれると、あちこち筋肉痛になって体中パンパンになります。
身体は付かれているはずなのに心は晴れやか
すっかりとストレスがなくなり駅の階段はやっと上がる様でも心は軽やかでした。
もちろんその晩は爆睡です。
最近はジム通いもしませんが筋トレは続けています。
スクワットと腕立て伏せと腹筋それを入浴前に脱場で行います。
肩こりの治療と体型の維持とストレスの解消と安眠の4つの効果があります。
呼吸法
夜中に目が覚めてしまったら呼吸法がお薦めです。
色々なことを考えてしまうと眠れなくなるものです。
目が覚めて頭に浮かぶことの多くは不安なことです
危険を予測できることがあるから人類は生き残ってきたそうです。
とはいえ明日元気に過ごすためには良く眠ることが大事です。
不安なことを考えないようにするのには他のことに集中することが役立ちます。
ベッドで横になったままで自分の呼吸に意識を集中して
「息を吸っています」「息を吐いています」と頭の中でつぶやきます。
しばらくそれを続けるといつの間にか眠っています。
まとめ
静寂な寝室を作る方法のポイントは
寝室を音源から遠ざける
寝室と音源の間に緩衝空間を設ける
遮音材や工法を考える
寝室の吸音性を高める
騒音に耐える心と体を作る
以上の5項目です。
この記事があなたの家作りのお役に立ちますことを願っています。