トップライトは建築にとって大変夢のあるアイテムです
その魅力は多くの建築家の作品に見ることが出来ます
具体的にどのように使ったらよいかメリットとデメリットを考えてみましょう
そしてデメリットに対する対策を解説します
出典:ヴェルックス
トップライトの魅力
どんなアイテムでも効果的かどうかは使い方次第で決まります
どんな効果を期待するのかその効果から使い方を考えてみましょう
トップライトの魅力1、光と影のコントラスト
壁に窓が有るのは当たり前ですが
屋根に設けられた窓・トップライトからの光は
壁に付いた窓からの光よりも明るく強い光です
トップライトの光が壁や床に当たると光と影のコントラスト
が強く現れます
写真のような強くしっかりとした陰影はとても感動的ですね
ただこのような陰影が現れるのは
毎日ではなく限られた季節の限られた時間帯かもしれません
しっかりと太陽の動きを計算して影の出方をデザインする必要があります
3Dマイホームデザイナーによる日照チェックが役に立ちそうですね
またキッチンは蒸気が発生する場所です
トップライトには結露受けなどの工夫が必要になるかも知れません
トップライトの魅力2 被せられた蓋に穴を開ける開放感
建物には屋根が覆いかぶさっています
天井が低い部屋では閉塞感を感じます
トップライト一つで開放感あふれる空間にする事が可能です
このように目の高さに近いところにトップライトを設置する場合には
ガラスの上の落ち葉やほこりなどの汚れが目に付いて気になります
メンテナンス可能な開閉できるトップライトにしたいですね
トップライトの魅力3 外壁から遠い部屋の採光
最もオーソドックスな使い方かもしれません
間取りの都合で外壁から遠いところに
部屋を作らなければならない事が有ります
窓からの光が足りない時に
トップライトを付ける事で問題が解決できます
採光に関しては下の記事も参考になりますのでご覧ください
「日照」と「採光」と「部屋の明るさ」の違いを建築士が実例で解説
ハイサイドライトとは?有効な利用法、デメリットと対策(建築士の道具箱)
トップライトを付けたい場所
設計をしていてここにはトップライトが必要だなと思う事が有ります
2つの例をご紹介いたします
このようなケースでは小さなトップライトでも十分に機能が果たせます
トップライト選定の参考になさってください
平屋の中廊下部分
規模の大きな平屋では中廊下が必要になる事が少なくありません
このような場合には中廊下に小さなトップライトを設けることで
採光が確保されます
建物の中央に階段のある場合
間取り成功例46坪 収納、住みやすさを追求・共働き間取りオタクの家
でご紹介した家の階段室のようなケースですね
この場合には階段の真上にあると1階の階段上り口まで
明るくすることが可能です
間取り成功例46坪 収納、住みやすさを追求・共働き間取りオタクの家
トップライトの魅力4 空が見える
郊外に出ると空がたくさん見えますが
込み合った都市部では空を見る機会が少ない気がします
「空が見える」日常から離れた時間を作るのにとても良い効果が有ります
トップライトの魅力5 星や月が見える
空が見えるのですから夜には星が見えるはずです
ロマンチックですね
遮光性のブラインドを取り付けておかないと
真夏には朝の4時ころから強い日差しに目が覚めてしまう
というような事になりますので要注意ですね
トップライトとハイサイドライト
トップライトは屋根に取り付ける窓で天窓とも呼ばれます
時々壁の高い所に取り付けられた高窓=ハイサイドライトと
勘違いされることも有ります
トップライトのデメリットと対策
トップライトにもデメリットがあります対策を考えながら記事を進めて行きます
トップライトを提案しても採用されるのは半分位の確率です
その原因は
・コストが掛かる事
・雨漏りや結露の恐れがある事
・トップライトの施工に慣れていない会社が多い事
です
トップライトのデメリット1 コストが掛かる
トップライトの価格はベルックスを例にとると
600角位の嵌め殺しでブラインド付きのものだと
水切りなどの部品を含めて12.5万円ほどになります
これに取り付け費を加えると20~30万円ほどになると思います
開閉式や電動開閉装置などを取り付けると大きなコストが掛かります
「トップライトが有ると良いのはわかりますが、お金がかかりすぎるので諦めて他に回します」
というケースが少なくありません
トップライトのデメリット2 雨漏り、結露の恐れがある
トップライトのデメリットに雨漏りが挙げられます
かつてトップライトのユニットが未成熟の頃にはその可能性は
少なくありませんでした
最近の製品はしっかりできているのでその心配は少なくなっています
トップライトの性能試験
下の動画をご覧いただくと
トップライト本体からはの雨漏りは考えにくい事がお分かりになると思います
トップライトのもう一つの選択肢ガラス瓦
雨漏りの無いトップライトのもう一つの選択肢として
ガラス瓦という製品を上げておきます
瓦屋根だけに適用できるのですが
雨漏りに関してのリスクは瓦屋根と同じなので
安心な工法です
写真の例は和瓦ですが他にもS型瓦などいくつかの種類が有ります
このような形の納まりで
瓦と下地ユニットの組み合わせの商品です
出典:AGC株式会社
トップライトの結露
最近のトップライトは雨漏りの心配は少なくなっています
けれども結露に関しては問題解決されていません
トップライトは部屋の中でも一番高い所に付きます
高気密高断熱の家の場合は部屋の上下の温度差は少ないのですが
そうでない場合にには部屋の上部は温度が高くなります
外気温との温度差で室内側に結露が発生します
ベルックス社では下の図のようにトップライトの下に
湿気が多い空気が滞留しない構造にするよう注意を喚起しています
トップライト周りの空気の循環
空気が滞留しないような構造で結露を防ぐというものですが
経験のある建築士と相談することをお薦めします
トップライトのデメリット3 トップライトの施工に慣れていない会社が多い
トップライトを付けた図面を工務店さんで見積ってもらったところ
「『トップライトは雨漏りするからうちはやらない』と言われました」
というケースが何件かありました
断熱性・気密性が低く室内で石油ストーブや石油ファンヒーターを使うような場合には
結露しても仕方がないと思います
断熱工事に実績のある工務店を選ぶことが大切です
トップライトが付けられないケース
一部のハウスメーカーのカタログには
「トップライトは付けられませんと」記載されていることが有ります
屋根の構造の考え方によってはそのようなことも起こります
トップライトの設置を希望される方は
契約前に確認しておくことが必要です
まとめ
トップライトの魅力とメリットデメリットについて書いてきました
画像の多くをヴェルックス社のホームページからお借りしています
ベルックス社のほかにもリクシルさんがトップライトを提供しています
工務店さんによってお付き合いしている会社が違います
比較検討することも必要です
トップライトの魅力を引き出してトラブルの無いようにするためには
設計段階で十分な検討をして確実な施工をする事が必要です
ご質問などありましたらメールフォームから気軽にご連絡ください