「完成した家に住んでみたら、思ったより日当たりが悪かった…」という不満は様々な「新築不満ランキング」で上位にランクされているポイントです。日当たりが悪い住宅に住むと、冬に底冷えする、ジメジメする、ストレスがたまる、といったさまざまな健康や快適な暮らしに支障をきたすようなデメリットがあります。日当たりの悪い家に住むデメリットはどのようなことか、対策はどうしたらよいか考えてみましょう
日当たりが悪い住宅に住むデメリット
日当たりが悪い新築住宅に住むと、以下のようなデメリットがあります
- 暗くて陰気になる(採光効果)
- 冬に底冷えする(温熱効果)
- ジメジメする(湿度調整)
- 体内リズムが狂う(健康効果)
- ストレスがたまる(複合効果)
いずれも健康被害につながってしまう可能性があります。
1. 暗くて陰気になる(採光効果)
「当たりが悪い家」と聞けば暗くて陰気というイメージがあり、そういった家には誰も住みたくないでしょう。
暗いのが好きならカーテンやブラインドで調整することができるので、基本的には光の入る明るい家が理想的です。
2. 冬に底冷えする(温熱効果)
関東地方の場合、南向きの180cm×180cmの窓は600ワットの電気ストーブに匹敵するといわれており、誰しも「冬暖かく夏涼しい家」に住みたいと思いますよね。
日当たりが悪い家は、明るさや暖かさといった太陽の恵みを受け取れない家ということになります。
3. ジメジメする(湿度調整)
日当たりが悪い家は常に湿気が多く、カビが生えやすい状態になります。
カビが生えると、見た目が悪くなるだけでなく、カビ胞子を吸い込んだ人がアレルギーやぜんそくなどの症状を引き起こす原因にもなります。
家の中にいる時間が多い奥様やお子様にとってもカビが生えやすい環境は良くありません。
4. 体内リズムが狂う(健康効果)
人は約24時間周期の体内時計を持っており、昼は活発に動き、夜は休息する仕組みになっています。
この体内時計をリセットする役割を担っているのが太陽光で、朝起きて陽の光を浴びることによって新しい24時間がスタートします。
日当たりの悪い家に住んでいると、朝に日光を浴びることができず、体内リズムが徐々に狂ってしまい、日中にぼーっとしたり、食欲が低下したり、不眠症に陥ったりと、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
5. ストレスがたまる(複合効果)
人は日光を浴びると、体内でセロトニンと呼ばれる神経伝達物質を分泌します。
セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれている物質で、精神を安定させたり、頭の回転を良くしたりするはたらきがあるといわれています。
日当たりの悪い家に住むと、日光不足でセロトニンの分泌量が減ってしまい、慢性的なストレスや疲労、集中力の低下など、人の心に悪影響をもたらす原因となります。さらにセロトニンの低下は、うつやパニック障害といった精神症状を引き起こすともいわれています。
家を購入し、これからもっと仕事を頑張らなくてはいけないのに、日当たりが悪いせいで体調を崩してしまうケースも考えられるのです。
日当たりの悪さを改善する5つの方法
日当たりの悪さを改善する方法は、以下の5つです。
・インテリアで対策
・窓ガラスで対策
・窓を上下に伸ばす
・壁を壊して窓をつける
・天窓をつける
詳しく見てみましょう
1.窓際に鏡を置く(インテリアで対策)
日が差し込みやすい窓のそばに鏡を設置し、反射光を利用して日当たりをインテリアで改善する方法です。
鏡は姿見くらいの大きめサイズを用意すると、日当たりの悪い部分により多くの太陽光を届けることができます。
2.窓に採光フィルムを貼る(窓ガラスで対策)
採光フィルムとは、窓から入ってきた光を屈折させ、室内の奥まで届けることができる特殊樹脂加工のフィルムです。
太陽光を効率よく取り込む仕様になっているため、窓から差し込む日の光が弱くても、部屋全体を明るくさせることができます。
出典:DNPホームページ
その一方で高いUVカット効果も備わっており、「部屋は明るくしたいけど紫外線が気になる」という方におすすめです。
3. 南側の日当たりのある窓を大きくする(窓を上下に伸ばす)
南側の日当たりのある窓を大きくすることで、日あたりを改善することができます。窓のサイズを大きくし、部屋の扉を解放することで、他の日当たりの悪い部屋の日照も改善することができます。
3-1.窓の高さを大きくする
窓の上下の壁は構造として重視されないことが普通です。
既存の窓の上下に窓を伸ばすように高さのある窓に付け替える方法です。
高さのある窓に付け替えれば、幅を変えなくても日当たりが良くなるようになります。
3-2.窓の上に高窓をつける
既存の窓はそのままに、上部に高窓をつける方法です。
天井に近い位置に設置すれば、外からの目を気にすることなく、より効率よく日光を取り込むことができます。
庇や軒との関係で効果の薄いケースもありますので日当たりを確認しながら進めましょう。
またあまり高い位置に窓を取り付けると、開閉しづらかったり、掃除に手間がかかったりする可能性があるので要注意です。
3-3.窓の下に地窓を付ける
地窓とは、床に接する位置に取り付ける窓のことです。
こちらも日当たりを確認して進めることが必要です。
4.壁を壊して窓をつける
壁を壊して窓を作ることも可能です。
多くの場合、窓のない外壁には、筋交いや構造用面材が入っています。
構造壁を壊して窓を付けると、構造強度が減少して建物が揺れやすくなり、台風や地震による大きな被害が出たり、倒壊したりする可能性があります
そのため、壁を壊して窓を付ける場合には「ブレース」で補強したり、耐震サッシ窓用フレームを使用したりして、壁の構造を強化することが必要なので構造の分かる建築士に相談してください
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5.トップライトを新設する(天窓をつける)
屋根の一部を壊し、トップライト(天窓)を新設する方法です。
屋根に当たる太陽光を直接室内に取り込むことができるので、周辺に建物があっても日当たりを改善することができます。
窓のサイズを大きくする方法に比べると、プライバシーを保護しやすいという利点もあるため、「外からの視線が気になる」という方におすすめの方法といえます。
適切な場所にきちんと取り付けないと雨漏りの原因になりますので、信頼できる業者に施工を任せることが大切です。
【まとめ】
日当たりの悪い新築に住むデメリットは、以下の通りです。
・暗くて陰気になる(採光効果)
・冬に底冷えする(温熱効果)
・ジメジメする(湿度調整)
・体内リズムが狂う(健康効果)
・ストレスがたまる(複合効果)
こういった状態の家では、健康で快適な暮らしを続けることは難しいでしょう。
対策としては以下の6つの方法があります。
・インテリアで対策
・窓ガラスで対策
・窓を上下に伸ばす
・壁を壊して窓を付ける
・天窓を付ける
日当たりが悪い家でも、諦めずに積極的に解決に向けて行動することが大切です
いつでも気軽に相談ご連絡ください。
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