回遊式動線・大型パントリー・玄関収納・吹抜など盛りだくさんの設計条件のお宅です
ウォークスルーの2畳以上の玄関収納
玄関からキッチンまでの動線の中に2帖以上のパントリー
壁掛け式テレビとテレビ裏収納
吹抜と吹抜に面した600x3000~4500のカウンター
ダイニングにスタディコーナー
横並び式キッチンでキッチンからリビング、ダイニング、和室が見渡せる
といったリクエストです
全てごもっともなリクエストです
ただこれを限られた敷地限られた延べ床面積で満たすのには
かなりの腕力が必要です
工務店さんの図面を拝見すると苦闘の後が歴然としていました
配置計画
東西17m南北11mの郊外のゆったりした分譲地
東側道路です
1階平面計画
リビングとダイニングと畳コーナーへの日照を重視した配置になっています
吹抜があることでキッチンへの採光も十分に取ることが出来ます
パントリーの位置と大きさウォークスルーのシューズクローク
沢山の間取りを作ってきましたが
玄関からキッチンへの動線に2帖以上のパントリーを設ける
ウォークスルーの2畳以上のシューズクロークを設ける
と具体的な面積と位置を限定されると
難易度が高いものとなります
これをパズルとしてはめるだけでは快適な暮らしが見えてきません
リクエストを満足した上で快適さの見える間取りにする必要があります
二列目階段という選択
建物の一番北側に水廻りを置いてその南側に直線状の階段を設ける
このタイプの階段を個人的に二列目階段と呼んでいます
東西に長い建物で
玄関⇔リビングの来客動線と
玄関⇔水廻り⇔キッチンのサービス動線を分離する
というような時に有効です
階段を家の中心的な位置にすることで
1、2階共に動線を短く収めることが可能です
リビングとダイニングの分離
リビングとダイニングが分離しているプランはあまり作ってきませんでした
この間取りでもダイニングと畳コーナーの入れ替えで
リビングとダイニングが隣接します
今回はキッチン横並びダイニングの機能性を重視して
この案が採用されました
物干しはお客様の見えないところに
物干しは洗面室の室内干しとダイニングの南側に設けています
お客様から見えない位置にしています
洗面室からは少し遠いですが利用頻度を考えると
それほど不便ではないという判断です
2階平面計画
2つの子供室は将来分割することを前提にした設計で
間仕切りの一部を開放にしています
リビングの上部に吹抜3.5帖を設けています
この寸法は2階のスタディーコーナーのカウンターの長さを3m以上
としたリクエストから来たものです
北側の子供室のクローゼットの半分は階段の上にあるため
腰から上のクローゼットになっています
気候の関係もあってバルコニーは設置しません
子供部屋のレイアウト大きさは6畳?5畳?4.5畳?傾向と考え方
動線計画
玄関⇔リビング⇔畳コーナー⇔ダイニングのお客さま動線と
玄関⇔洗面所⇔パントリー⇔キッチン⇒ダイニングのサービス動線が
玄関とダイニングでつながる回遊式動線になっています
日照と通風
日照
各室に十分な採光が取れるように計画していますが
吹抜に面した大きな窓によりより一層の日照採光が得られます
通風
通風を意識して各室は出来るだけ2面に窓を設けるようにしています。
1階の掃き出し窓から入った風が吹き抜けや階段を経由して
2階のホールの北側の窓から抜ける風の道も計画的に配置しています
収納計画
ウォークスルーのシューズクローク
シューズクロークが2帖以上あると靴だけでなくアウトドアグッズほか様々な収納が可能です
ウォークスルーにすることで内玄関として来客用と分離することが出来
片付いた玄関を維持することが容易と言えます
またうがい手洗い用のセカンド洗面台を設けることで
ウイルスの感染予防にも役立ちます
お客様を洗面室にご案内しにくい時にもあると便利なアイデアです
セカンド洗面台に関しては下の記事に詳しく書いていますご覧ください
玄関洗面台(セカンド洗面台)はコロナウイルス等感染症予防の決め手
パントリーに冷凍庫を置くメリット
パントリーに冷凍庫を置く
これはとても便利で有効な方法です
共稼ぎなどで買い物に時間が掛けられないご家庭では
冷蔵庫とは別に冷蔵庫を置くことで
冷凍食品を買い置きしたり作り置き料理を冷凍保存したり
することで食事を豊かにすることが可能です
外観デザイン
外観に関しての特段のリクエストはありませんでしたので
切妻屋根のオーソドックスなものとしています
内観デザイン
テレビの位置か畳コーナーキッチンダイニングを見ています
吹抜の窓からのハイサイドライトが効果的に入ってきています
ハイサイドライトに関しては下の記事に詳しく書いていますご覧ください
ハイサイドライトとは?有効な利用法、デメリットと対策(建築士の道具箱)
住まい方へのこだわりの根拠を見直して設計条件を考える
この記事は下のように書き出しました
ウォークスルーの2畳以上の玄関収納
玄関からキッチンまでの動線の中に2帖以上のパントリー
壁掛け式テレビとテレビ裏収納
吹抜と吹抜に面した600x3000~4500のカウンター
ダイニングにスタディコーナー
横並び式キッチンでキッチンからリビング、ダイニング、和室が見渡せる
といったリクエストです
全てごもっともなリクエストです
ただこれを限られた敷地限られた延べ床面積で満たすのには
かなりの腕力が必要です
工務店さんの図面を拝見すると苦闘の後が歴然としていました
今回は何とかねじ伏せるように条件を満たす間取りにすることが出来ました
この設計条件の
・玄関収納の面積やウォークスルーの条件を変えると
・パントリーの面積や位置の条件を緩めると
・リビングの収納をテレビ裏収納でなくても良いとしたら
・吹抜に面したカウンターの長さを1間1.8mでも良いとしたら
・横並び式キッチンでなくても良いとしたら
このうちのどれか一つの条件を緩めることが出来れば工務店さんでも
無理のない設計ができたのではないかと思います
工務店さんには工務店さんなりのルールが有って
お客様の条件のほかに社内ルールという条件まで満たさなければならないのですから
より一層の困難が有ります
まともな間取りが出てこない時には
住まい方へのこだわりの根拠を見直して設計条件とするかどうか
見直してみる作業をする事をお薦めします
面積表
間取り25~30坪3LDK+和室 東玄関
1階床面積 67.08㎡ 20.25坪
2階床面積 46.37㎡ 14.00坪
延べ床面積 113.45㎡ 34.25坪
吹抜面積 5.80㎡ 1.75坪
まとめ
初めての家づくりでもインターネットで検索すればたくさんの情報を手にすることが出来ます
インターネット上にある「お薦めアイテム」を集めれば完璧な住まいになりそうですが
実際には「住宅」という3次元的なものとしての完成度と
時間のファクターを加味した「住まい方」という4次元的なものとしての
完成度が必要です
良い住まいづくりにはたくさんのアイテムを統合して物語にする
強い意図が必要です