間取り30~35坪1LDK+2S+店舗 店舗西入り 住宅北玄関
1階床面積 54.99㎡ 16.60坪
2階床面積 49.02㎡ 14.80坪
延べ床面積 104.01㎡ 31.40坪
理髪室・美容室の店舗と住宅
埼玉県八潮市八潮四丁目の「アサコ理髪店」さんのお仕事です。
今お住まいの家の建て替え計画です。
現在は約30坪の建物を住宅としてだけご利用です。
そこに
「1階には美容室みたいな”床屋”を15坪くらいで出したいと考えています」
とのお話です。
日当たりやそこでの生活の仕方はお客様の方が良くご存じです。
明確なイメージをお持ちでしたのでそのイメージを形にする作業に徹することが出来ました。
計画のポイントはお店のイメージ作りです。
打ち合わせの言葉の端々に「地域に根差して地域に貢献する」意識が感じられました。
ぜひ実現したいと感じました。
街かどのほっこり床屋さん
ご希望の外観のイメージは
このような形のレトロな建物。
夜に成ったら
「夜は通った人にホッと安心を与えられる灯をともしたいと考えています」
こんな風に街行く人を柔らかい光で癒したいというご希望。
お店をかっこよく見せたいというのではなく
街行く人を癒したいというところが嬉しいですね。
そして建物の外観もお知り合いの棟梁が腕を振るえるようにしたいというお考えからです。
間取り作りを通じてお手伝いさせていただくことに喜びを感じます。
配置計画
東西約10.7m南北約9.5m敷地面積約28坪の敷地です。
道路付きは西側道路が幅員6m北側道路が幅員4mで隅切りがあります。
敷地の南西の角に地域のごみ集積所があります。
1階平面計画
1階は理容室と住宅の玄関があります。
店舗は西側の広い道路からアプローチして
住宅は北側からアプローチします。
理容所6畳と美容所6畳の融合
店舗部分の重要なポイントは
“理容所”と”美容所”を法律的に一つの店舗に入れること。
です。
というのはアサコ理髪店はご主人が理容師で奥様が美容師です。
お店は”理容所”と”美容所”がそれぞれに独立して機能することが求められています。
各部分が6畳9.9㎡の専用部分が必要でホール、レジ、客溜、トイレ、バックヤードは共有出来ます。。
”美容所”のお客様が”理容所”を通って”美容所”に入るという動線は不可です。
そのため必然的に入り口のホールからそれぞれに分かれる配置になりました。
住宅部分
理容室の店舗を最大限広く取るために住宅部分は最小限にとどめています。
玄関とシューズクロゼット(SCL)と階段です。
階段は直線階段で階段下はSCLと店舗のトイレになっています。
玄関ホールから店舗のバックヤードに入れることも重要なポイントです。
家庭生活とお仕事を分離しない生活様式に必要な要素です。
2階平面計画
一日中立ちっぱなしのお仕事ですのでゆっくり休める空間にする事が求められます。
15坪弱の面積を最大限有効に使う事を考えました。
南側に3階建ての建物があるので南側のLDKや和室はいかがなものかと心配しました。
現在の住宅で感じている感覚から問題ないという判断でした。
吹抜のあるLDK
限られた面積の中でゆったりと暮らすための方法として吹抜で空間を上に広げる方法があります。
吹抜リビングとダイニングのほぼ半分の面積を吹き抜けにしています。
南側の建物の上からの日照や採光を取り入れるために吹抜の南面に窓を設けています。
沢山の洗濯物が干せる長いバルコニー
理容室・美容室では沢山のタオルを選択しなければなりません2階のバルコニーは南側に長く取っています。
3階平面計画
3階には寝室と洋室があります。個室としての独立性を重視した計画です。
構造計画
1階を店舗にした建物は
- 店舗内を自由にレイアウトするためになるべく構造壁や柱をその中に建てないような計画になります。
- また道路から店舗内が見えるようにするためにファサード(正面)を広く取るように計画します。
そのため結果的に
- 上の階を支える梁の支点間の距離(スパン)が長くなる
- ファサード側の構造壁が不足しがちになる
という事が起こります。
木造住宅の構造 スパンに関して
ハウスメーカーでは「4mルール」というようなルールを設けています。
「梁の長さが4mを超える物は出来ません」と言われることが少なくありません。
- 4mを超えると流通している材が少なくなる
- 4mを超えると長くて太くて重いので運搬や建て方などの負担が大きくなる
- その結果割高になる
ということです。
店舗の設計にこれを当てはめると
店舗の機能を満たすことが出来ないことにもなりかねません。
合理的な構造計画が必要です。
今回の建物の構造のポイントは
①2階の南側の外壁を受ける部分
②ファサードの部分
③店舗内の梁
④待合の独立柱
です。
①2階の南側の外壁を受ける部分
レジカウンターの裏の収納の奥の壁を構造壁にすることで
スパンを4095mm=13尺5寸に抑えています。
構造計算で確認が必要ですが梁成1尺4寸=約42cm位でよいと思いますが、
③の梁を受けるので一回り大きい450mmのほうが納まりが良いと考えます。
②ファサードの部分
出入り口は4枚引違の建具を古民家から探す予定です。
2間=12尺=3640mmのスパンになります。
問題はその隣の待合に設けた窓です。
ここに窓がある事で一般的な構造壁が取れません。
そこで利用したいのが窓のある面に筋違(ブレース)が設けられるスマートブレースです。
さらに剛性を高めたい場合には門型フレームを採用する事も可能です。
スマートブレースや門型フレームに関しては下の記事をご覧ください。
耐震・制震・免震・減震その解説とおすすめ~地震に強い住宅①~
③店舗内の梁
店舗内の梁のスパンは①の梁と階段の壁の間の4095mm=13尺5寸です。
梁成1尺3寸=約40cm位で行けると思います。
④待合の独立柱
③の梁を受けるためにホールの北東の角に独立柱を設けることとします。
外観デザイン
お客様のご希望が少しでも叶えられればと思います
木建具と和瓦屋根と腰壁でレトロな昭和の雰囲気
入り口の木建具は古民家の部材を探したいと思います。
瓦屋根の載った庇、腰に張った羽目板、藍染の暖簾、面格子、丸窓、洗い出しの土間
などのアイテムにレトロな時代を感じていただければ嬉しいですね。
これらを作る職人の皆様にも腕を振るう機会になってほしいというのがお客様の希望です。
柔らかい光で街行く人を癒したい
「柔らかい光で街行く人を癒したい」そんなお客様の気持ちが実現できればうれしいです。
まとめ
街中の今お住まいの住宅を建て替える計画で、そこでの住まい方のイメージがしっかりしていることが今回のお仕事の特徴です。
地域に根差して地域に貢献する姿勢に共感を覚えます。
お近くの方は是非「アサコ理髪店」をご利用くださいね。
埼玉県八潮市と草加市と三郷市でもヘアカット専門店を営んでいます。
お店の名前は「カットタイムヨーグルト」「カットタイムヨーグルトZ」です。
こちらもぜひご利用ください。
「アサコ理髪店」さんの「カットタイムヨーグルト」というブログに
「アトリエコジマさんに間取りのデザインをしていただきました」という記事を掲載していただきました。
こちらもご覧いただけると嬉しいです。